みやざきけんいちの半生10
【分岐点】
その後、西杏子とは、一応カレに気を遣いながらもカレの事等の相談を受け、仕事帰りの喫茶店などで会うようになった。たまにだけど。そんな状況の中、稲丘藍子の方はというと、全く連絡が途絶えたのでは無く、向こうからたまに連絡はあった。勿論こちらからはすることは無かった。
そんなある日・・・。
1本の電話が、寮に掛かってきた。
稲丘藍子からであった。内容は、風邪を引いたらしく、家に誰も居ない為、もがき苦しんでいるようだった。
なぜ?
なぜ、私に?
と思ったのだが、相手が病気という事で助けを求めているのなら、仕方ないかと、彼女の家を訪ねることにした。
彼女は布団の中で寝ていた。
とりあえず、体温計で熱を測り、熱があるのを確認して、救急病院へ連れて行った。
診察を受け、薬を貰い、家へ帰った。
少し楽になったのか、家で少し会話をした。
『何故カレに連絡しないの?』
『心配されるのが嫌だから・・・』
『でも、俺じゃないでしょ。普通。ねーちゃんとか親でしょ。それなら・・・』
『家族にも心配されたくないから。』
『・・・・・』
分かった様な、まったく理解できないような・・・。
そんな会話をした後、少し食事を摂らせて、薬を飲ませた。
少し経って、彼女は寝た。
家族はその日、結局帰って来なかった。
私は、誰も居ない中、1人にさせられなかったので、その日は朝まで彼女の家に居た。
次の日。
当然仕事のある私は、出社しなければいけないのだが、彼女の病状は安定せず、まだ熱があり、そのまま会社へ行くわけに行かず、会社へ病気だと嘘を言って、その日は休んだ。
昼間は、ご飯を買ってきて食べさせ、後は寝ている間はボーっとしていた。
夜になり、彼女の姉が帰って来た。私は彼女の姉に事情を説明すると、彼女の事をお願いして寮へ帰ったのであった。
が、しかし・・・
1時間ほど経って、寮へ電話があった。
彼女からであった。
内容は、また少し熱が出てきた事と、姉に言えないという事でわざわざ電話してきたようだった。
結局、また彼女の家へ行った。
彼女の姉が出てきて、一言、
『私は奥に行ってますから。』
と言葉を残して、奥の自分の部屋へ行った。
私は、また救急病院へ連れて行き、昨日と同じ行動を取った。
帰りたかったが、姉は部屋から出てくることも無く、仕方なくその日も朝まで付き添うのであった。
またまた次の日。
かなり回復したようだったので、その日は朝早く寮へ帰り、出社した。普通に仕事を終えて、寮へ帰ると、黒板にメッセージが書いてあった。
【稲丘さんが連絡欲しいとの事。】
そのまま電話をすると、またもや具合が悪くなったとの電話だった。
仕方ないので、また彼女の家へ向かった。
かなりマシになってはいたが、ずっと病気で弱気になっていた様子。看病した後、今度は彼女は口を開いた。
『カレと別れる・・・。』
突然過ぎて、すぐに反応出来なかったが、私の気持ちは無視なのかと思いながら、質問した。
『カレに言えるの?実際?』
『頑張って言う・・・』
私は、別に期待もしてなかった。ただ、病人をほってはおけなかっただけ。彼女の事は1度諦めた時点で、気持ちも盛り上がっていなかったし、この状態になって良かったのかなんて、その時は判断出来なかった。
ただ、その日も傍に居て、次の日の朝、元気になった彼女を確認して寮へ帰るのであった・・・。
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